紫陽花

梅雨の季節。風が涼しいので、夜になったら今日も雨が降り出すでしょうか。雨に沈んだ景色は息をひそめて止まっているよう。毎日おなじように見えるけれど、一雨ごとにちゃんと雨の向こう側、夏に向かって進んでいるのです。

駅から会社までの道すがらが、いちばん季節を感じる時間。下を向いて歩いていると、甘い香りの雨が降ってきて、驚いて顔をあげれば、こっちを向いているのは梔子（くちなし）の花。夏色の凌霄花（のうぜんかずら）や夾竹桃も、もう咲き始めました。

けれど、この季節といえばやはり紫陽花。井の頭線の浜田山～永福町にかけて、線路の両脇一面に、それはそれは見事に咲き誇ります。ぎゅうっと寄り添って咲いた、ぽんとまあるい紫陽花たち。毎日通勤中に眺めては、ほうと溜め息をつきます。

そんなある日、傘をくるくるまわしながら歩いていたら、可愛らしい紫陽花を見つけました。道端にしゃがみこんで眺めていたら、あら、なんだか悩んでいるようです。

　　なないろ
　　　　　　　　　　　　あじさいななこ

　　今日も気づいてくれなかった
　　毎朝わたしの前を通るあのひと
　　つよい雨に傘を目深にさして
　　いつも足早に通り過ぎてしまうの

　　今日はそらいろ
　　昨日はももいろ
　　そのまえはすみれいろ
　　わたしに似合う色は何色かしら

　　一番きれいなわたしを見て欲しくて
　　毎日悩んでばかり
　　あしたは何色を身にまとおうか
　　気づいてくれるといいな、あのひと

そうやって悩む紫陽花はとても綺麗で、どの色だって似合うと思うのだけど。

雨の日にも、傘をほんのすこしだけ持ち上げて見渡してみたら。いろんな植物や虫たちや季節のすみっこたちに、会えるかもしれません。そうして誰かの「のはらうた」を書き留めたら、是非こちらに送ってくださいね。（わたしの下手っぴですみません…。）
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※　おまけ　※
会社のすぐ近くで、タコさんウィンナー発見！？

ちなみに、落ちたざくろの花でした。ちょっと美味しそう。

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