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りんさん

戦後を代表する女流詩人のひとり、石垣りんさんが亡くなったのは2004年12月26日のことでした。生前、りんさんは、第1詩集『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』、第2詩集『表札など』、第3詩集『略歴』、第4詩集『やさしい言葉』と、4冊しか詩集を出していませんが、ひとり暮らしをしていた雪谷の一室には、膨大な数の未刊詩が遺されていました。新聞や雑誌に掲載されたもの、その切り抜き、足繁く通った喫茶店での走り書き、原稿用紙に丁寧に清書されたもの、様々なかたちの詩がありましたが、どれもまさしく、りんさんの詩でした。

りんさんと交流のあった童話屋の編集長は、生前りんさんに新しい詩集の出版を託されていました。しかし、見つかった未刊詩はなんと350篇あまり。全ての未刊詩を掲載するとなると、ボリュームが大きくなってしまいます。ひとりでも多くのひとに手にとってもらえるよう、まずは未刊詩のなかから選りすぐりの40篇で詞華集『レモンとねずみ』を出版しました。そして、いよいよ未刊詩全集を完成させるべく、秋に向けて作業を進めていたのですが。。。

ここで謝らなければならないことがあります。実は、秋頃発売ということでご案内していた『石垣りん未刊詩全集』の発売は、来年に延期する予定です。ご予約をいただいているお客様、書店様、本当に申し訳ありません。

実は、りんさんのお父様の出身地であり、りんさんもまた父母とともに眠っている南伊豆町に、石垣りん文学記念室が設置されることとなり、現在準備が進められています。記念室には、りんさんの愛用したベレー帽や文机、生原稿や蔵書等が展示される予定です。童話屋では、この記念室のオープンにあわせて、りんさんの新しい詩集というべき『石垣りん未刊詩全集』を発売したいと考えています。事前にご注文いただいているお客様、書店様には、正確な発売日程が決まり次第ご連絡いたします。発売が遅くなり、ご迷惑お掛けしますが、もう暫くお待ちくださいませ。

ちなみに、『レモンとねずみ』には入っていない未刊詩のなかにも、素敵な詩はまだまだたくさんあります。タイトルだけいくつかあげると、例えば「恋うた」「二月の朝風呂」「湖」「鏡の前」などなど。詩を通して感じるりんさんの印象は、以前はいつもきりりと真実を見つめて、時折それが厳しすぎるために、少し怖いような、そんな気がしていました。ところが未刊詩をいくつもいくつも読んでいくうちに、りんさんは、いつまでも少女の気持ちをもち、はにかんだり憧れたり、そんな可愛らしいひとだったんだなと、いまでは思っています。

新しい詩集、りんさん、気に入ってくれるかしら。


『石垣りん未刊詩全集』のご予約を希望の方は、お近くの書店様にお申し込みください。
※B5判上製700頁ケース入り(予定)、予価5,985円(税込)

また、石垣りん文学記念室の詳しい情報はこちら→静岡県南伊豆町ホームページ
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