雨の日には
この夏は、ゲリラ豪雨なんて呼ばれる突然の大雨が多くて、どんなに晴れていても折り畳み傘が手放せませんでした。一度降り出すと、よくもまあこんなにと思うほど、雷を伴ってそれは激しくざぶざぶと降り。もうこうなったら、なすすべもなく、ただただ止むのを待つばかりでした。
そんな夏の雨もそろそろ終わりでしょうか。昨日の朝しとしとと降った雨は、もわっとしたみどりの匂いがする夏の雨とはどこか違って、ひやりとした風を運んできました。長袖のシャツに腕を通そうかとしばし悩んだあと、明るい色の傘をぱんっとさして出掛けました。街中の隅々までしみ込んだ夏の匂いも、こうやって少しずつ洗い流されていくのかしら、と思いながら。
雨が降ると、荷物が増える、外で遊べない、お洗濯も出来ない、とつい文句ばかり。それじゃあ、当の本人の雲たちはどう思っているのでしょう。夏の雨の日にも、秋の雨の日にも、重たげな雨雲を見上げていつも思うことは、雲たちだって困っているんだろうなあということ。
きっと雲たちは、すっかり暗く重くなってしまった自分のからだを持て余しているのではないかしら。けれど、どうすることも出来ずに、困って困って、だから雨はますます強くなるばかり。そんなとき、この小さな傘でほんのちょっとでも手助け出来たらいいのに、と思います。
どんよりした雨雲見上げ、かしりと傘をひらいたら、えいこらしょ、の掛け声ひとつ、右肩にかつぎます。どうか、雲たちの重たいからだが、少しでも軽くなりますように。勿論、ひとつの傘が支えられるものなんて、たかが知れています。でも、もし、みんながいっぱいのいっぱいの傘で、雨雲を持ち上げたら…。
あんなに低く垂れ込めていた雲たちも、ほら軽くなってきた、ほら明るくなってきた!いつのまにやら、雨はすっかりやんでいる、なんてことにはならないかしら。そんなことを想像しながら、雨の日には傘をさして出掛けます。
東京は明日から暫く雨マーク続き。くれぐれも傘はお忘れなく。
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